西村担当大臣が新型コロナウイルスの感染拡大防止の肝として掲げる業界ごとのガイドラインが徹底されていない状況が散見される。このような事態は,自社の都合のみを優先したもので,社会全体の利益に反すると言わざるをえず,深く憂慮するものである。ガイドラインをきちんと読んでもいない人も少なくないであろう。
具体的に守られていない内容をいくつか紹介する。ガイドラインの一覧は以下のURLで確認できる。
https://corona.go.jp/prevention/pdf/guideline.pdf?20200806
テレワーク(在宅やサテライトオフィスでの勤務)、時差出勤、ローテーション勤務(就労日や時間帯を複数に分けた勤務)、変形労働時間制、週休3日制など、様々な勤務形態の検討を通じ、通勤頻度を減らし、公共交通機関の混雑緩和を図る。
緊急事態宣言が解除されてから,「満員電車」が復活してしまいました。それだけ,以前と同じように出勤している人が増えたということでしょう。上司の近くで仕事をしていないと不安というのは,そもそも信頼関係ができていない証拠です。
公共交通機関や図書館など公共施設を利用する従業員には、マスクの着用、咳エチケットの励行、車内など密閉空間での会話をしないことなどを徹底する。
電車内でおしゃべりをしている人は相変わらず多いですね。
飛沫感染防止のため、座席配置などは広々と設置する。仕切りのない対面の座席配置は避け、可能な限り対角に配置する、横並びにするなど工夫する(その場合でも最低1メートルあけるなどの対策を検討する)。
オフィスに新たに仕切りなどを設けたという会社はあまり多くはなさそうです。広々としたスペースを確保できない企業も多いと考えられます。
従業員が、できる限り2メートルを目安に、一定の距離を保てるよう、作業空間と人員配置について最大限の見直しを行う。
製造ラインを組み替えるのは容易なことではないでしょう。元々密接して作られた事業場では対応が難しいと思われます。
喫煙を含め、休憩・休息をとる場合には、できる限り2メートルを目安に距離を確保するよう努め、一定数以上が同時に休憩スペースに入らないよう、休憩スペースの追設や休憩時間をずらすなどの工夫を行う。
喫煙所はどこも「三密」状態ですね。労基法の原則では休憩は一斉に与えることになっていますから,一斉休憩をしなくて済むように就業規則の変更等が必要になってしまいます。それに休憩スペースに広大な面積を確保できている事業場は少ないでしょう。
在宅勤務(テレワーク)を原則とし、業務を継続する上で必要最小限の従業員のみ出勤させるものとする
漫然とオフィスに出社して業務を行っている企業があるのではないでしょうか。
契約関係の書類への捺印のために出社せざるを得ない社員もいる。予め、顧客やパートナー会社との契約書面の電子化を推進する。
スタンプラリーのためにわざわざオフィスへ行くのは国会でも問題になりましたね。実際には電子取引が普及していませんので,紙でのやり取りがかなり多数あると思われます。
経営トップは、自ら業務の実態を把握の上、必要性を徹底的に見直すとともに、必要業務についても優先順位を定めるなどに努める。
経営トップは業務の詳細には関心がない人も多いでしょう。
窓を開けることも含めて適切に換気を実施する
だんだん,窓が閉まっていることが目立つようになってきました。開いていてもわずか数センチメートル程度で,換気に効果があるようには思えません。
換気の状況について、車内や駅構内における放送等を通じて利用者への周知を行う
このような周知活動には一度も遭遇したことがありません。このような車内放送は一度も聞いていません。
混雑時間帯に比較的空いている車両又は列車の利用の促進、国土交通省と協力した可能な限りのマスク着用及び会話を控えめにすることの協力の呼びかけなど、座席の配置形態や輸送形態等に応じて取りうる方法により、可能な限りの利用者間の間隔の確保や、密接した会話などを避けるための対策を実施する
通勤時間帯は完全に「三密」状態で,利用者間の間隔の確保は不可能な状況です。大声でおしゃべりをしている人もいます。マスクをしていない人も目にするようになってきました。そして,注意喚起の車内放送はほとんどありません。